この本は、すべてDIYで制作しています。つまり、特定の出版社を介さずに、著者との契約から、翻訳、編集、校正、レイアウト、デザイン、ISBNコードの取得まで、本の制作をすべて自分たちで行っています。その中で、最終的な翻訳のチェックと文章の校閲を友人である島崎真紀子さんにお願いし、印刷製本を京都・百万遍の糺書房（ただすしょぼう）さんにお願いしました。この本の完成まで、翻訳や校正、DTPといった根気のいる孤独な作業を何度も挫けそうになりながらも淡々とこなし、同時に周囲の方々の多大なサポートによって、こうして皆さんの手元に届けられるようになりました。

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　ようやく本が完成した後は、流通に乗せ、販売網を確保し、この本を求めている読者の皆さんの手元へとうまく届けなければなりません。しかし、大手出版社を介さない販売方法では、一般的な書籍の流通を取り仕切っている取次に卸すことも、全国の書店に並べることもできません。そこで、インターネットや口コミ、友人たちのネットワークを通じて、自分たちで細々と販売を行うことにしました。

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　本をオンラインで購入するには、2通りの方法があります。一つはネットショップサービス「Stores」を通して、オンラインで購入する方法。ここでは普段皆さんがネットで商品を買うのと同じように、オンライン上で決済して購入することができます。ただ、Storesのサービスを利用するには5％の手数料と振込手数料が売上から差し引かれるため、その分１冊につき180円を上乗せして販売しています。ご了承ください。

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​　もう一つの方法は、ホームページ内のメールフォームから住所などの情報を送信してもらい、銀行振込での支払いによって購入する方法です。仕組みは単純で、皆さんが入力したフォームが私たちのメールアドレスに届き、折り返しのメールで金額などを確認してもらったのち、改めて銀行で代金を振り込んでもらうという、すごくアナログなやり方です。時間と手間がかかり、スマートな方法ではないかもしれませんが、何度かメールをやりとりしながら、なんとなく顔の見える形で本を届けることができるのではないかと思っています。銀行振込なので振込手数料がかかりますが、振込先はゆうちょ銀行ですので、ゆうちょ銀行間の「ゆうちょダイレクト」を使えば無料です。（無料なのは月５回までの取引のようです。詳しくは調べてみてください。）

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　Storesにしてもメールフォームしても、どちらも私たちのメールアドレスに通知が届き、そこから発送作業に入ります。発送に関しても自分たちで行っているので、早めの発送を心がけていますが、場合によっては時間がかかったり、不手際もあるかもしれません。ご理解いただければと思います。何かお困りや不明な点があれば、上記の連絡先までご連絡ください。

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　加えて、実際のお店や施設で直接購入できるように、販売先をこれから増やしていくつもりです。その場合、もちろん送料や手数料などはかかりません。実際に本を手に取り、中身をめくりながら本の質感を感じてもらうことで、より納得して購入いただけるのではないかと思います。取り扱ってみたいという店舗や施設の方がいましたら、お気軽にご連絡ください。

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　少し余談になりますが、どうして自分たちで製作・販売する形をとっているのかについてお話ししたいと思います。

　私たちが自分たちの会社を立ち上げ、初めて「野外で算数」というスウェーデンの教材を翻訳していた当時、その本の出版に際してとある出版社に持ち込んだことがありました。しかし、「売上が期待できないから難しい」と十分に話も聞いてもらえず、「それならば自分たちで出版しよう」と決意し、試行錯誤を続けてきた経緯があります。

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​　出版について調べてみると、どうやら日本の出版業会における本の作り手である著者や訳者の立場は弱く、流通や出版を担う取次や出版社が純売上のうち多くのパーセンテージを受け取っているということがわかりました。そのため、本が売れても著者や訳者に入る印税は少なく（一般的に5〜10％ほど）、出版社や流通にとっても、多くの人が読む（大量に売れる）ような本しか扱わないような仕組みになっているようです。紙の本が売れない時代に、作り手である著者や売り手である町の小さな書店には、あまり売上が還元されていないのが現状です。加えて、Amazonで販売した場合には、およそ24％もの手数料がマージンとしてかかります。

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　私たちが出版する本は、野外教育や環境教育などの専門的な分野を扱った内容であり、全国の書店に置いて、ふらりと立ち寄った人たちが数多く手に取っていくようなものではないかもしれません。しかし、「野外」や「教育」をテーマに同じような問題意識を抱え、同じようなアイデアを共有している人たちが全国各地にいることを私たちは知っています。そして幸いにも、同じ分野で活動する仲間や、アイデアに共感してくれる人たちのネットワークがあります。そうした顔の見えるつながりの中で、私たちが作る本を直接届けたい。そして、本を片手に共に野外のフィールドに出かけ、野外の時間を共に過ごしたいと思っています。

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　現在の本の流通の実態が、大型書店と大手流通業者に最適化したものであるなら、もう一つのオルタナティブな選択肢として、自分たちが納得できる形で自分たちで本を作り、読者に直接届ける方法を選びたいという思いで、このような形をとっています。そして、皆さんに本を届けることを通して、教育について共に考え実践していくような小さなコミュニティを作っていきたいと考えています。ぜひ、この本を手に取った読者の皆さんも、私たちの小さな活動の輪にお付き合いいただければ嬉しいです。

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2023.8.29